日本光線療法協会 トップページ太陽光線と作用光線療法について全国の取扱店お客様の声光の医学について日本光線療法協会 お問い合せ

■自然の叡智

  生態系に存在する生態的要素は、生態系の非生物的要素、換言すれば自然環境(最も主要なものに光線がある)に適応する生理機能を持ち、かつ自然環境に健康(自然治癒力)を維持、増進させる作用があるからです。すなわち自然環境に適応した生命体のみが生き残り(適者生存)、適応できなかった生命体は死ぬ(自然淘汰)しかないのである。
生態系の生物的・非生物的要素の循環エネルギーは太陽光線の光エネルギーである。この一事をとっても光線が生態系に多大な影響を及ぼすことは明らかだが、近年、ヒトと呼ぶ動物に限って、太陽光線のメリットを軽んじデメリットを強調する傾向をなしとしない。
しかし、ヒトの健康にとっても光線には欠かせない作用があるため、ヒトは進化の過程でデメリットを排除する能力を獲得している。今回はヒトに備わったメリットを受けるために、デメリットを排除する自然の叡智と言うべき光回復の話から始めることにする。

■光回復

ほんの少し前まで、日光浴は健康に良いと無条件で信じられていた。しかるに今では、日光浴(紫外線)は皮膚ガン(光老化)の原因と言う話を皆知っている。そのため日光浴は健康面でマイナスと思い込んでいる人もいる。しかし紫外線による皮膚癌を防ぐのは朝飯前なのである。それは光回復と呼ばれる能力によるが、そんな話聞いたことがないと言う人も、恐らく日光を浴びて皮膚ガンになり死んだ人を知らない筈である。
光回復とは、紫外線B(UVB)による遺伝子の損傷を紫外線A(UVA)が活性化する修復酵素、紫外線特異的エンドヌクレアーゼで修復する、紫外線のメリットを受けるため生体が獲得した正に神秘的な能力のことである。要約すれば、紫外線Bにより遺伝子ピリミジン塩基(チミン、シトシン)が損傷されピリミジン二量体を形成すると、紫外線特異的エンドヌクレアーゼがピリミジン二量体を取り除き、損傷されないプリン塩基(DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ)ことである。この修復には紫外線が活性化する癌抑制遺伝子、P53が関与する。
付言すれば、グラント博士が紫外線被爆量の多いアメリカ南西部諸州と少ない北東部諸州
のガン発症率、死亡率を比較検討し乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性リンパ腫、膀胱癌、食道癌、腎臓癌、肺癌、膵臓癌、直腸癌、胃癌、子宮癌の十三の癌で、食事や煙草など癌に関わる既知の要因で補正しても、紫外線被爆量と癌罹病率との間には明らかな関係があり、紫外線被爆量が少ない地域では多い地域に比べ死亡率がほぼ二倍に上昇する癌もあると報告している。また、ショー博士は悪性黒色腫の発生率は屋外労働者に比べオフィス労働者で二倍と報告している。

■サーカディアンリズム

大袈裟でなく、光線はヒトの健康を支配するすべての生理機能に関わっている、と言って過言ではないが、まず睡眠障害とうつ状態との関わりについて考察する。
ヒトには太陽光線に同調して覚醒と睡眠のリズムを作る体内時計があり、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ぶ。サーカディアンリズムとは太陽光線の光刺激の一部が視神経を通って体内時計の中枢の視床下部の視交差核から脊髄、上頚部神経節を経て松果体ホルモンのメラトニンの分泌を抑制して日中の活動に適した覚醒のリズムに同調させ、光刺激がなくなるとメラトニンの分泌を促進して休息や睡眠に適した睡眠のリズムに同調させることで、自律神経、・内分泌系機能を調節することである。すなわち食欲、体温、血圧、心拍、尿量、免疫、酵素、ホルモン、自律神経など健康に関する機能全般に及ぶ。この巧妙に太陽光線に適応したリズムは全盲の人にも視覚器を持たない生物にもある。
  ところで高度に文明化した現代社会では、生活環境から太陽光線が奪われるため、メラトニンの日内変動が失われ、睡眠障害(睡眠相後退症候群)につながる。また気分を安定させる神経伝達物質のセロトニンはメラトニンの前駆物質のため、メラトニンの日内変動が失われるとセロトニンの逆相その関的な日内変動も失われ、うつ状態を助長する。現在、睡眠障害やうつ状態の有病率は年々増加しているが、その原因としてメラトニンのリズムの乱れや、脳および脳 髄液中のセロトニンの低下が指摘されており、光刺激で改善すると立証されている。なお、睡眠薬がわりにメラトニンが、抗うつ薬としてセロトニンが使われているが、根本的な対応策は生活習慣に光線を取り入れることである。
  なおサーカディアンリズムの観点から光線療法の使用法については、日中の基本照射でも効果はあるが、顔に目を閉じて朝晩30分程度照射すると一層の効果は期待できる。

■クル病は生活環境病(文明病)

先人が"光線は皮膚のパンである"、あるいは"ビタミンDは日光ビタミン"と言っているが、ヒトは光線で必要なビタミンDを生成するように定められているからである。
言うまでもなく光線が欠乏するとビタミンD欠乏症を起こし、カルシウムを吸収出来ないため骨吸収が促されて骨が脆弱化(クル病・骨軟化症・骨粗鬆症)する。中でも乳幼児はクル病を防いで骨の発育を促すため、妊婦は退治のため、多くのカルシウムを吸収する必要がある。そのため乳幼児と妊婦のビタミンD所要量(400IU)、は成人所要量(100IU)より多いが、自然の叡智は同量の紫外線でビタミンD生成量を約40%増やすのである。
  ところで昨年、岡山大学小児科の田中弘之助教授が重度の女児クル病を報告しクル病の増加に警鐘を鳴らしたことが新聞各紙で報じられた。その背景に1998年に母子手帳から日光浴を奨励する文言が外気欲に替わったことがある。加えて皮膚科医、美容専門家、製薬会社とそれに協力するマスコミによる行き過ぎた紫外線バッシングがある。
  乳児に日光浴をさせないとクル病になるのは17世紀中頃から20世紀初頭にかけてヨーロッパでクル病が多発した歴史を顧みれば明らかである。乳児の栄養源の母乳にカルシウムは潤沢に含まれているが、ビタミンDは全く不足しているからであり、これを補うのが日光浴である。しかるに母子手帳から日光浴の文言がきえたのをとらえて、ある皮膚科専門科医は"幼い時からの紫外線対策が始まった"と歓迎し、日光にちょっと当たるのも乳児用サンスクリーンを使わないと"年老いて皮膚ガンになる"と脅迫する。これでは乳児が健全に育つわけがない。あまりに乳児の生理的機能を無視している(多分、知らない)。

■カルシウムパラドックス

生理学の基礎概念にホメオスタシスがある。ホメオスタシスとは"生体の内部環境の恒常性"の概念である。光線との関係で最も重要なのは、ビタミンDが関与する"カルシウムの生体内分布の恒常性"である。カルシウムは生理機能を保ち情報を伝達する上で欠くことのできない役割を果たしているため、生体内の恒常性を厳密に保つ機構が備わっており、カルシウムの生体内分布は細胞膜をはさんで、細胞外のカルシウム濃度が高く、細胞内のカルシウム濃度が低い状態で、実に一万倍の濃度差を保つ必要がある。
  ところで、ビタミンDが不足すると、カルシウムの摂取量は十分でも吸収するカルシウムが不足しカルシウムの血中濃度が保たれるのは、低下の気配を察知すると副甲状腺ホルモンのパラソルモンの作用でカルシウムの貯蔵庫の骨からカルシウムが溶け出て補充するからである。その際、余分に溶け出たカルシウムが血中に溜まると多大な支障を来すため、カルシウムは細胞内へ移動して細胞内カルシウム濃度が下がるのではなく上がる、と言うのが一見常識に反するためカルシウムパラドックスと言われるのである。なおビタミンD欠乏症が続くと続発性副甲状腺機能亢進症を起こし、骨吸収を促す悪循環に陥る。
なお、カルシウムの生体内恒常性に関与するカルシウム調節ホルモンには、前述のビタミンD、パラソルモンに加えて、骨にカルシウムを蓄える作用があるカルシトニン(甲状腺C細胞)があるが、カルシトニンの作用はヒトでは比較的弱いとされる。

■光線浴の疾病予防効果

近年、高齢化と生活習慣病の増加で健康志向が高まっており、健康増進の観点から、食事(サプリメント)、運動、ストレス、酒・煙草など生活習慣に関心が集まっている。反面、
一昔前までもてはやされた光線浴(日光浴)の健康増進効果は陰が薄い。しかし、ビタミンD欠乏症、カルシウムパラドックスが健康面で不利なことは自明であり、骨粗鬆症だけでなく、前述のガンを始め、高血圧、動脈硬化、糖尿病、高脂血症、免疫応答の以上など様々な病気の誘因になり悪化因子になる。以下、それぞれについて前略に述べる。
  血圧は動脈中膜の平滑筋が収縮、弛緩することで、調節されるが、カルシウムパラドックスがあると、平滑筋が収縮し血圧を上昇させる。動脈硬化は成因から、粥状効果、動脈硬化、中膜効果に分けるが、カルシウムパラドックスは動脈中膜の平滑筋細胞内の石灰沈着を促して中膜硬化を起こし、他の動脈硬化を促進する。糖代謝に関係するインスリンを分泌する膵臓B細胞はビタミンDの標的器官で、ビタミンDの欠乏、カルシウムパラドックスはインスリンの分泌を抑制し血管抵抗性を増して糖尿病を悪化させる。高脂血症では脂質代謝を改善しコレストロール値を低下させる。免疫には自然免疫(非特異的反応)と獲得免疫(特異的反応)があり、後者には体液性免疫と細胞性免疫があるが、免疫反応には二面性があり、防護機構として疫を免れる(予防注射)のと過剰にあるいは異常に反応して疫になる(アレルギーおよび自己免疫疾患)のがあるため、免疫応答と言う表情が使われる。光線は免疫応答のすべてを調整する。詳細は省くが、現在、免疫と光線との関わりで明らかにされている事項について述べると、自然免疫では、光線の熱作用で生成される熱ショック蛋白質(ストレス蛋白質とも呼ばれる)に腫瘍懐死因子(TNF)や抗ウイルス作用があるインターフェロンなどの生理活性物質を増加させる作用があり、獲得免疫ではビタミンDに免疫担当細胞の細胞分化を起こし、それぞれの細胞が正常に機能することで体液性免疫と細胞性免疫の双方が正常に作動するのを助けるのである。
今の時期、猛威を振るっている杉花粉症は、免疫が過剰に働くアレルギー性疾患で、近年、激増したことは良く知られている。杉花粉症は杉花粉が抗原になり抗体として過剰に生成された免疫グロプリン・IgEが肥満細胞の膜表面に結合し、再度の抗原刺激により膜表面で抗原抗体反応を起こすと、肥満細胞内からヒスタミンなどの科学伝達物質が放出され、数分以内に症状を発言する。杉花粉症に罹るヒトと罹らないヒトがいる理由は不明であるが、光線療法の立場では、体質改善効果を期待して長期に用いる必要がある。

■自然との共生

文明の進歩は、やたらと世の中を難しくした。ヒトが生きるのに絶対に必要なもの、例えば酸素や食物にもメリットだけでなく、デメリット(発ガン性)があり、デメリットを排除するために生命体に備わった仕組みの足りない分をサプリメントで補わないと健康は保てないという類の話が闊歩している。光線で言えば、光線を浴びると皮膚はぼろぼろに老化し、そのうち皮膚ガンになるから、できるだけ浴びないように勧め、やむを獲ず浴びる時にはサンスクリーンを使わないといけないことになっている。しかし自然のメリットとデメリットを論ずる際、"ヒトも地球に生息するすべての生き物と同じに自然によって与えられた環境に適応して生かされている生き物であって、自然はヒトの思惑に合わせて変わることはない"、この単純にして明快な事実を忘れてはならないのである。
  言うまでもなく、発ガン性を恐れて息をしない、食べないと言うことはできない。酸素不足を自覚しなければ溺れ死ぬまで気付かない。空腹感がなければ飢え死にする。そのため自然は自覚症を与えて注意を喚起することにした。それに対し文明の進歩が無ければヒトも光線は浴びるのが当たり前なため、自然は不足の弊害を自覚する症状をくれなかった。
その上、光線不足の弊害は直ぐに表に出ないこともあって、光線(紫外線)バッシングが正しいこととして大衆に受け入れられ易いのであろう。
  健康寿命を保って限界寿命を生きる、その願いを叶える上で、ヒトも光線の大恩の下で進化した生き物であることを忘れてはならない。自然と共生したシンプルライフに健康の原点があることに気付けば、ヒトに自然のデメリットをあげつらう資格はなく、単なるおごりである。美白にこだわって健康を失う、角を矯めて牛を殺すのは馬鹿げている。

 
太陽光線と生命 光線療法について 全国の取扱店 お客様の声 光の医学について