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2011/6/7 静岡グランシップ  講師 医学博士 宇都宮 光明

紫外線はそんなに悪いのか?

変えられた常識
紫外線が強まる季節になりました。それに合わせるように紫外線は皮膚がんの原因になる怖いものとして扱うマスコミ報道が多くなります。テレビでも、明日の紫外線情報を放映し、紫外線が強いから外出を控えるようにとか、やむを得ず外出する時は長袖のシャツを着て日傘を差して日焼け止めクリームを使うように勧めています。
紫外線を浴びて日焼けすることは、そんなに怖いことなのでしょうか? 私たちは、先史時代からちょっと前まで、太陽光線の大恩に感謝し、日光浴で紫外線を浴びて日焼けした小麦肌が健康のシンボルと信じていました。当時は日焼け止めクリームもありませんでした。それが昨今、唐突に紫外線は皮膚がんの原因になる怖いもの、こちらが多くの人々の常識になり、日焼け止めクリームを使うのが当たり前になりました。しかし奇妙なことは、紫外線は皮膚がんの原因と知って怖がっている日本に住んでいる日本人に、日光浴が原因で皮膚がんに罹り死んだ人を知っていますかと質問すると、殆ど例外なく知らないとの答えが返ってきます。何故、健康を維持する上で欠かせないビタミンDを生成する大役を担う紫外線の大恩を忘れて、紫外線が原因で皮膚がんを発症した患者を知らないのに、紫外線は皮膚がんの原因になる怖いものが常識になったのでしょうか。
そこには紫外線カット商品を製造・販売する企業の広告戦略が関わっています。日本人の皮膚科医や美容外科医が紫外線と皮膚がんに関する著述で引用するのは、紫外線による皮膚がんは人種による肌色の違いと日照の紫外線量が関係しますので、日本に住む日本人ではなく、紫外線量の少ないイギリスから紫外線量が日本の何倍にもなるオーストラリアに移住した白人の皮膚がんです。それはオーストラリアに移住した白人の皮膚がん発症率は世界で最も高く、肌色が黒に近い褐色のオーストラリア原住民のアボリジニや黄色人種の日本人の100〜150倍で、10万人に600〜800人が皮膚がんになるとされているからです。
このようにオーストラリアの場合は、白人という人種の違い、後述しますが、メラニン形成細胞がメラニン色素を産生しないため日焼け出来ない白人の肌には強すぎる紫外線の影響で皮膚がんの発症率が高いのですが、人種の違い、気候、地理的な条件の違いを考慮に入れないで、日本人の医師がオーストラリアの白人の皮膚がんのデータを日本人に当てはめることで恐怖心を煽り、常識を作り変えたのです。

オーストラリアでは

紫外線カット商品を扱う企業がマスコミなど広告媒体の特集記事で紫外線は皮膚がんの原因と決め付ける際に使う常套句は、紫外線(UV)対応策の先進国、オーストラリアでは云々です。例えばオーストラリアで皮膚がん予防キャンペーンとして、皮膚がんになる要因に小児期からの習慣的日光暴露があるため、白人の子供に義務づけている紫外線対策は、外出時は日焼け止めクリームスを塗り(スロップ)、つばの広い帽子をかぶり(スラップ)、長袖の上着を着て(スリップ)、サングラスをかける(ラップ)というのがあります。
このオーストラリアで行われている紫外線対応策を紹介した記事を参考にして、ある幼稚園で園児のお母さんに、外出時には紫外線をカットする素材で出来ている衣服を着せ、首筋まで隠れる帽子をかぶらせ、日焼け止めクリームを塗るように勧めているそうです。また乳母車に乗った赤ちゃん、いわば日傘を差した小さなお子さんにまで日焼け止めクリームを使っているお母さんがいますが、共通しているのはオーストラリアの紫外線対応策を取り入れていることです。
ところで私たち日本人はオーストラリアの白人のように紫外線を皮膚がんの原因として怖がる必要はあるのでしょうか? 実は人種の肌色を決める皮下の基底細胞層のメラニン形成細胞の細胞密度に人種の違いによる差はないことが分かっています。それなのに人種で肌色が違うのは、アフリカで誕生した人類が世界各地に移り住む過程で、紫外線量に応じて、メラニン形成細胞がメラニン色素を産生する能力に違いが生じたためなのです。すなわち黒人は熱帯の強い紫外線から肌を守るため、メラニン色素を濃くすることで紫外線を遮断し、皮膚細胞の障害、がん化を防止しますので、紫外線による皮膚がんには殆ど罹りません。亜熱帯に住む黄色人種は、紫外線が強い夏に紫外線による皮膚細胞の遺伝子の損傷を防ぐ皮膚防護層を作るため、メラニン形成細胞が働いてメラニン色素を生成し日焼けをしますので、紫外線による皮膚がんの患者は余りいません。紫外線量の少ない寒帯の白人は、弱い紫外線でビタミンDを生成するためメラニン形成細胞は働かずメラニン色素を産生しないので日焼け出来ないのです。その白人が強烈な紫外線が降り注ぐオーストラリアに移住したのですから、紫外線による皮膚がんが多発したのです。言うまでもなく、日本人はオーストラリアに移住した白人のように紫外線を怖がる必要はありません。
むしろ今の子供たちは、一昔前の子供と比べると外で遊ぶ時間は激減していますので、時に外で思いっきり遊ばせてください。そうすることでビタミンDを不足なく生成し、骨や筋肉の健全な生育を促し、外界の微生物に接し体内に取り込むことで免疫力、抵抗力を高めるのです。なお日焼け止めクリームのようなUV化粧品が皮膚がん急増の原因とする研究報告もありますので、肌が弱い小さなお子さんには使わない方が無難です。

紫外線の損得勘定

太陽光線の紫外線の損得勘定というサブタイトルを付けました。太陽光線は地球誕生の時から地球に降り注いで恵みを与えてくれており、太陽光線の紫外線を浴びることで健康に欠かせないビタミンDが生成される一事をとっても、紫外線の得は自明で、損得勘定をすること自体が無意味と思っていますが、マスコミなどが太陽光線の紫外線の有害性を大々的に報道する際、紫外線を浴びて日焼けする当たり前の生理現象すら悪いこと、すなわち損として扱い、美白などという珍妙な言葉を使って紫外線を浴びないことを得とする風潮があり、現に紫外線を浴びるのは損と思っている人も増えています。そのため皆様にも損得について考えて欲しいと思ったのです。
ところで太陽はどんなに悪態をつかれても紫外線と一緒に出て来てくれますから、差し当たり被害は誰にも及びません。むしろ紫外線カット商品を製造、販売している企業にとってはビジネスチャンスとなりますので、悪態は大歓迎でしょう。しかし日焼けをしないとビタミンDは生成されませんので、日焼けを損とする誤った認識は、一般市民をビタミンD欠乏症にして健康を損なわせるリスクを増すだけで、何の利益も生みません。
ビタミンDは、他のビタミンと異なり、食事から摂取するだけでは不足気味ですが、紫外線の助けを借りて自分の体の皮膚で7−デヒドロコレステロールから合成することができますので、紫外線による合成を利用することでビタミンDを不足なく補うことができます。なおビタミンDは構造式にステロイド核を持ち、標的器官で作用することから、ホルモンとして作用すると考えられており、カルシウム代謝の調整や細胞分化誘導など多彩な作用のあることが知られています。
ビタミンD不足について調べた報告を引用します。介護が必要な高齢者のビタミンD不足は以前から指摘されてきましたが、中高年女性を対象に調査した結果でも半数近くがビタミンD不足と報告されています。ビタミンDを多く含む食品は回遊魚のような魚類ですが、食事では足りないので、紫外線によるビタミンDの合成で不足分を補う必要があるのに、最近の紫外線バッシングが背景にあって、ビタミンD不足が増えたことを指摘した報告もあります。そのため屋外で30〜60分程度日に当たる時間をもうけるか、屋内ならガラスを通さない日光にあたる時間をもうける必要があるとされています。
次にビタミンD不足がカルシウム代謝に及ぼす影響についてですが、ビタミンDが不足すると、骨からカルシウムが溶け出て骨粗鬆症になるため骨折のリスクが高まり、筋肉に障害を起こして筋力が低下し転倒のリスクが高まりますから、転倒骨折して寝たきりになるリスクが高まるのです。なお筋肉の障害をミオパチーと言いますが、ビタミンD不足による筋肉の障害はビタミンDを補うと治るため、ビタミンD反応性ミオパチーと呼ばれています。また母乳栄養の赤ちゃんは、母乳にビタミンDが含まれていませんので、ビタミンD不足になり、クル病になり易いので、必ず日光浴をさせるようにしてください。
最後に、紫外線量がメラニン形成細胞のメラニン色素の産生に及ぼす影響について考察します。人種による肌色の違いは、メラニン形成細胞がメラニン色素を産生する能力に差があるためであることは前述しましたが、白人が陽射しの強い地域に移住すれば黒くなり、黒人が陽射しの弱い地域に移住すれば色褪せて白くなることが報告されています。
オーストラリアの研究チームは、1977年から2006年までの30年間に亘って、無作為に選んだ約1000人のオーストラリアに移住した白人を対象に皮膚中のメラニン色素の濃度を調査した結果、メラニン色素の濃度の平均値は毎年少量であるが着実に増加しつつあり、肌色がだんだん黄色人種に近づいていて、1000年後には白人が黒人になる可能性を指摘した研究を報告しています。その反面、インドやアフリカなどからイギリスに移住した有色人種の子供は、イギリスの紫外線量が弱すぎるため、日光浴をしてもビタミンD欠乏症に罹る例があることが知られていますが、肌色はだんだん白くなっています。

 

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